亡命政府首相来日セミナーで日本の対中姿勢を問う

 今週の直言
  第134回
     亡命政府首相来日セミナーで日本の対中姿勢を問う
                         国基研理事長 櫻井よしこ
 
 チベット亡命政府のロブサン・セング首相の来日を機に、4月3日、国家基本問題研究所主催でセミナーを開催する。21世紀の世界のあるべき基本的価値観を考える好機である。
 
 ●諸問題の元凶は中国
 現在の国際社会には、無法と反民主主義の嵐が吹き荒れている。すでに8500人以上の国民を殺害したシリアのアサド大統領に対して、或いはイランの核開発に対して、国連も国際社会も手を打てないでいる。
 中国はロシアと共に、アサド大統領を非難し制裁を警告する国連安保理決議案を、二度にわたる拒否権行使で退けた。また、イラン石油の最大の輸入国であり続けることで、イランの核保有への動きを現在も助けている。 
 一方、北朝鮮はイランの核開発に関わり、核関連資材を積んだコンテナ船を大連及び上海経由で出港させてきた。中国政府はこれまでそれを黙認することで、明確に北朝鮮とイランの側に立ってきた。
 民主化を求める「中東の春」を弾圧し、核兵器を拡散させているのは中国なのである。中国こそ、21世紀の世界における問題の元凶である。
 
 ●弾圧される3民族
 その中国の圧政下で苦しみ続けているのが、チベットウイグル、そして内モンゴルの人々である。中国共産党はこれら三民族を「ネーション」(独自の国家を形成し得る民族)と認めず、「エスニックグループ」(少数民族)と定義する。この壮大な言葉のまやかしに立って、三民族の独立を許さないと言う。だが、例えばチベット人チベット仏教への帰依とチベット語の使用を禁止し、ウイグル人イスラム教への帰依とウイグル語の使用を禁止し、中国人化を強要するように、中国が許さないのは民族そのものの存在である。チベットの若い僧らが相次いで焼身自殺を遂げる理由は、事実上の民族消滅を進める中国政府への最大の抗議である。
 中国政府の弾圧がかつてなく激化し、ウイグル人もモンゴル人もチベット人同様、凄まじい弾圧を受けているいま、センゲ首相の来日を意義あるものにするのは、アジアの大国としての日本と日本人の責務である。
 首相をお迎えしてのセミナー開催に至るまでに、中国政府の反発と妨害に関するさまざまな議論があった。結果として私自身が招致委員会の長を務めることになったが、中国政府による締めつけが、一面で日本側に恐怖と阿り(おもねり)を生んでいる実情も見えてきた。だからこそ、セミナーは21世紀の国際社会の価値観とともに、日本の価値観、日本人が如何に中国と向き合うかを問う機械ともなるはずだ。
                                            (了)
 
国基研
 
雅楽平和 いい音色 です
 
 
 
        日本国民よ
 
        我らのために、立ち上がれ!
 
        あすは、我が身である!