憲法改正こそ日本文明回復の鍵

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     中西 輝政 京都大学教授
 
ーーいま話題の映画「ラスト サムライ」で西郷隆盛をモデルにしたという準主役を演じた俳優の渡辺謙さんが、米国人監督から「(拝謁時に)天皇の目を直視してほしい」と演技に関して言われたとき、「日本人の感覚としてそれはできない」と抗弁したそうですが、ここにもそういう感覚が表れていますね。
中西 だからあの時代、幕末や明治の日本と今の日本とは直結しているんですよ。少しも変わってなんかいません。明治四十五年の明治天皇崩御に際して国民が示した反応と、昭和天皇崩御時の国民の反応は七十七年の時を挟んで同じなのです。
 ただ、戦後の問題はあまりにも長く間違った「国家否定」の風潮が続いていることです。一国一文明の日本にとって、これはやがて文明の衰弱死をもたらしかねない。戦後も日本文明の本質は少しも揺らがなかった。しかし国家がおかしくなり始める。たとえば、敗戦によって国家が毀損された、その最たる象徴が憲法九条です。自らの生存を他者に依存すると謳っているこの九条こそは古今東西の歴史に類をみない「国家の否定」そのものでした。国家としての生存を否定されれば、「文明としての日本」はやがて生命力を失い、回復しがたい致命傷を負わずにはいられない。それが一国一文明の日本の宿命です。この致命傷が二世代を経ていまや誰の目にも明らかになってきた。日本人の精神と価値観、モラルの崩壊です。この文明の崩れが国家を根底から破綻させかねない様相になってきている。いま、憲法改正こそは日本文明回復の鍵となっているのです。
 もうひとつ日本文明回復のために、必要なのは教育です。さきほど西郷さんをモデルにした映画の話がありましたが、西郷隆盛は日本人の原点です。私は日本文明を象徴する人物として、「弥生化の原型」をつくった聖徳太子と「和魂漢才」を説いた菅原道真と「日本回復」の最後のメッセージを死して遺した西郷隆盛の三人の伝記をそれぞれ一ヶ月ずつ教えていけば、子供たちに日本人としての大きな背骨を与えることができると思います。この三人で日本人としての特質は大体カバーできる。教育についてはまだまだ他に大切なこともありますが、文明史家としてまずこのことを申し上げたいと思います。
 
 
                  ご葬儀を雅楽の音で 格式高く
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