古伝の大切さ

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             2・20 フサアカシア 優雅
 
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    古典が語る神武天皇    隆盛明勅 日本文化総合研究所代表
 
 古典の大切さ
 
 日本のはじめは、わが国の最初の「天皇」とされる神武天皇の建国にあるというが、古典・古文献の共通一致した伝えです。現今の学界では、かかる古伝を無造作に否定しようとする傾向が顕著ですが、神武天皇非実在が学問的に証明されたわけではありません。
 むしろ『古事記』『日本書紀』などに見える神武天皇をめぐる伝承の原型は、予想以上に古いのです。細部はともかく、その骨格は西暦四世紀以前にさかのぼります、日本列島における文字文化の移入と活用の実情についての最近の知見も考え合わせると、大和王権が生まれた奈良の地に政治拠点を打ち立てた初期のリーダーについての古伝承が、早くから文字化されていた可能性も一概には否定できません。
 いずれにしても、建国の始祖がいらっしゃったことは確かな事実です。それは遙か遠い昔のことで、その方のことをいつの頃からかカムヤマトイワレビコノミコトと申し上げてきたのです。大化改新の頃には「始治国皇祖(はつくにしらししすめみおや)
という呼び方もあったし、『日本書紀』にもさまざまな呼称が載せられています。「神武天皇」という寒風し号は、八世紀後半になって淡海三船(おうみのみふね)なる人物が、天皇の勅をこうむって撰進したものです。
 建国の始祖をめぐる物語が、長い歳月にわたって伝えられてゆく間に、また『帝紀』や『古事記』『日本書紀』といった書物に収められる際に、いろいろと展開し、新しく付け加えられた部分もあることはもとよりでしょう。しかしむしろそこに、上古の人々の天皇観や国家理想が託され、集約されていると見るべきです。そこに潤色や誇張はあっても、まったくの架空として否定するのは妥当ではありません。
 特に『記』『紀』は古代統一国家確立の時代に、その国家意思を担って成立した古典ですから、そこに描かれた神武天皇像には、深い理想や信仰が込められていると言えましょう。
 
 
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