JINF 今週の直言  TPP興国論

              TPP興国論
                      大樹総研特別研究員 松田学
 
 環太平洋経済連携協定(TPP)賛成論者を売国奴と決め付ける「亡国論」が、ここまで日本を席巻する姿はやや異常である。正確な情報と事態への分析的な認識を持てば、例えば米国陰謀説が空想であることはすぐに分かる。すでに日本は世界でも最も開かれた国の一つであり、「開国」という言い方もやめるべきだ。TPPそれ自体が米国の対日輸出を大きく増やすものでもない。打撃を受けるのは農協(農業ではない)ぐらいだが、TPPとは無関係な医療制度までもが対米恐怖心を煽る材料にされている。
 
 ・世界秩序形成に日本の国益反映を
 人口減少社会の日本は、自国の繁栄基盤を外へと拡大しなければならない宿命の下にある。その際に不可欠なのは、サプライチェーン(国際的につながる一連の供給
過程)と対外直接投資で世界から利益を得て、日本国内に雇用を生む成長パターンだ。TPPは国際的な権益を保護し促進するルールを整備するものであり、日本はほとんどの分野で「攻め」の立場になる。
 基本原則は「法の支配」、経済取引ルールの徹底だ。それは片やルールを無視する中国を牽制し、片や米国の横暴を抑える道具にもなる。TPPは一方的な押し付けではない。相互に義務を負う多国間ルールの形成である。推進の舞台はアジア太平洋経済協力会議APEC)であり、TPPは中国も含め日本の輸出額の4分の3を占めるAPEC地域全体の未来の秩序形成を志向する性格のものだ。そこへの参加とは、世界秩序づくりへの日本の意思表明であり、未来の国際スタンダード形成に最も有利な形で日本が参画することを意味する。
 日米二大国の下で決まる経済活動ルールの巨大な構築物は、未参加の多くの国々を引き込んでいく。交渉過程で参加各国は各分野で解を見いだし、それが世界のモデルにもなる。そこに日本型の課題解決のあり方を反映するチャンスができる。万一、TPPが国益を損なう結果になるなら、堂々と脱退すれば良い。交渉参加に逃げを打っていては、将来、日本とは無関係に出来上がった秩序を押し付けられるだけだろう。
 
 ・日本人の生き方を問うTPP
 確かに、最近の政治の混迷は、日本の国際交渉力に疑問を感じさせないわけではない。だが、より深刻なのは、日本人の心に巣食う「弱い国家ニッポン」という想定ではないか。国家としての矜持を説くはずの保守の立場の方々までがTPPに反対している姿には、悲しいものがある。この滅多にないチャンスが到来している日本が、なぜ戦後の米国支配のトラウマに埋没したまま、政治の無為な現状に甘んじ、敗北主義に陥らなければならないのか。
 経済の論理は冷徹だ。その流れには早く乗った方が勝である。日本はこれまで、世界のスタンダード形成に参画できずに多くの国益を失ってきた。リスクを恐れてヌクヌクと安楽死の道を進むのか、将来の希望に向けてチャレンジする道を行くのか、日本人の生き方が今、問われている。筆者は近く、『TPP興国論』を上梓する予定である。(了)
 
国基研
 
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