【第214回】JR北の安全軽視は断じて許さない

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【第214回】JR北の安全軽視は断じて許さない

塚本三郎 / 2013.09.30 (月)


国基研理事・元民社党委員長 塚本三郎
 
 旧国鉄名古屋鉄道局職員として青年期を過ごした私は、やがて国会議員となって、国鉄の改革と民営化に熱心に取り組んだ。日本の鉄道が世界一安全であることを誇りに思うとともに、27兆円もの赤字が積み重なった国鉄のJR各社への分割・民営化で経営改善の道筋を付けた「一国会議員」としての自負心は失いたくない。
 それだけに、JR北海道の脱線、出火など相次ぐ事故と、その原因究明の過程で明らかにされた数々の問題点は、かつての国鉄職員としては驚くことばかりである。
 ●企業統治に問題あり
 今回の貨物列車脱線事故の原因を調べてみると、レールの異常が探知されて、補修期間の15日間が過ぎても放置されていたと報道されている。それも、1年間もであるという。同様に異常が放置されていたレールの危険箇所はいったん97カ所と発表されたが、他にも170カ所見つかったと報じられた。
 「利用頻度の少ないレールの修理を後回しにし、そのまま失念していた」と野島誠社長は説明した。現場に何が不足していたかは、もう少し深く検討しなければならない、と社長は言う。
 ベテラン保線員は「圧倒的に人とモノが足りていない。補修を先送りするケースは日常的にある」と明かしている。緩み切った組織の改革がどうしても必要である。
 「いつ何が起きてもおかしくない状態だ。点検で問題を見つけておきながら、放置していたというのは理解できない」と国交省鉄道局幹部は語っている。鉄道関係者からは「社内体制の根本的な見直しが必要」とする声も根強い。国鉄時代から引きずっている労働組合問題は一連のトラブルの背景にあるのだろうか。
 国交省幹部は「社内の安全管理体制だけでなく、会社の企業統治に問題がある」のではないかと言う。そうとしか考えられない。
 ●組織の再点検を
 JR北海道は、JR東日本JR東海と比べて資金力や地力が弱い。だからと言って、人手不足を理由に補修を放棄することは絶対に許されない。
 今回の事故で、保線の在り方にとどまらず、経営状態、組織と命令の徹底確認、技術の向上、社内のモラルなど、鉄道事業の原点に戻って再点検を実施すべきである。
 JR北海道の問題は、管理体制のみならず、職員の「安全に対する責任」について、他のJRマンに警鐘を乱打していると悟るべきである。他のJR各社も今一度、「スピードと安全確保は世界一」であるとの責任と自覚を合言葉に、本来の鉄道マンに立ち返るべきだ。(了)
 
ルーズベルトが日本に戦争を仕掛けた
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国基研
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