「人権委員会設置法案」の問題点

日本会議メールより
 
人権委員会設置法案」の問題点についてまとめた村主メモです。


(1)人権委員会が設置されるとどうなるの?
○学校での「持ち物検査」や「居残り授業」、「国歌斉唱」「家庭訪問」も「人権侵害」
に。
○「武道」や「水泳」、「修学旅行」や「廊下にたってなさい(懲戒)」も「人権侵害」と
して告発され、もはや学校教育は崩壊。
○外国人に選挙権を認めないのは「差別」と告発され、外国人参政権を付与。
民法の「夫婦同姓」原則は、「平等権の侵害」と告発され「夫婦別姓」を導入。
○「同性愛」を認めないのは「差別」と告発され、憲法を改正し「同性婚」容認へ。

(2)「人権委員会設置法案」は、法務省の「悲願」?
  法務省は3つの悲願を達成しようと、国会議員に精力的に陳情活動を行っています。
  その第1は刑事局が所管する「組織犯罪法改正」、第2が民事局の「夫婦別姓民法
家族制度改悪)導入」、第3が人権擁護局の「人権委員会設置」です。
人権委員会設置法案」は平成14年の「人権擁護法案(内閣提出)」、平成17年の「
人権侵害救済法案民主党提出)」として、過去に国会に提出されましたが、反対が多い
ことから、いずれも廃案となりました。
  しかし「人権法案」を推進する民主党が、平成21年に政権についたため、法務省は再
提出を準備し、平成23年「新たな人権救済機関の設置について(基本方針)」を発表し
ました。平成24年6月の段階では「人権侵害」や「差別助長行為」を規制する「人権委
員会設置法案(骨子)」が公表されており、9月19日には法案内容の閣議決定が行われ
ました。

《新たな人権侵害救済機関「人権委員会」の概要》
1,人権委員会の設置等により、人権擁護施策を総合的に推進し、人権尊重社会
の実現に寄与することを目的とする。
2,国家行政組織法に基づく「3条委員会」とする。
3,人権救済、人権啓発、政府への意見提出、国会への報告等を所掌事務とする
4,人権委員は、中立公正で人権問題を扱うにふさわしい人格識見を備えた者を、国会の同
意を得て、内閣総理大臣が任命する。
5,事務局に弁護士資格を有する職員を配置する。
6,人権侵害等に対し援助、調整、説示、勧告、通告、告発、要請、調停、仲裁を行う。
7,全国の法務局・地方法務局で活動する「人権擁護委員」については、既存の委員や組織
を活用する。
8,「人権擁護委員」は非常勤の国家公務員と位置づける

(3)人権侵害の定義が曖昧で、恣意的に運用される危険がある。
  法務省は、「人権侵害」について、「民法・刑法その他の人権に関わる法令に照らして
違法とされる侵害行為」、「憲法の人権規定に抵触する公権力等による侵害行為」と定義
しています。
  しかし、何が法律に違反する行為かを判断するのは、本来裁判所の役割であり、司法と
は異なる人権委員会が、公正中立な審理が行うことは法律案では担保されていません。
 人権委員会は、司法手続きが煩雑であることから、国民からの訴えに迅速に対処するこ
とを目的としており、多種多様な「人権侵害の申し立て」に対して、申し立て人の一方的
な主張をもとに、「調査手続き」に入り当事者の「呼び出し」等を行うことになります。
  一行政機関にすぎない「人権委員会」が、裁判所のように公正中立な判断を行う保障は
どこにもなく、逆に「政府からの独立」を理由に一切のコントロールを排して「人権委員
会」が暴走する危険もあります。
 何が「人権侵害」であるかの裁定は、司法を通じた裁判で行われるべきではないでしょ
うか。

(4)「差別助長行為の禁止」規定は、逆に「言論の自由」を脅かす
 人権委員会が規制する「差別助長行為」について、法務省は「人種等」の属性を有する
「不特定多数の者」に対し、「不当な差別的取り扱いを助長・誘発することを目的」に、
「情報」を「文書の頒布、提示等の方法により公然と適示すること」としています。
 しかし、何が「不当な差別的取り扱い」であるのか、基準が明らかされていません。
  そのため、いくらでも拡大解釈が可能であり、人権委員会の独自の判断で国民の表現活
動を取り締まることが可能となります。
 このことは、憲法21条が定める「集会・結社・表現の自由」、同23条の「学問の自
由」を脅かし、言論活動や集会の開催等の国民の活動を制約する恐れがあります。

(5)「3条委員会」は憲法違反。啓発活動を行う3条委員会など不要
  法務省は、「人権委員会」を国家行政組織法第3条に基づく「3条委員会」として設置
しようとしています。
「3条委員会」とは、人事院公正取引委員会などのように、「内閣の所属下にありなが
ら、実際は内閣の指揮監督を受けず、独立して職権を行使する行政機関」を指します。
  内閣の統制が及ばないということは、内閣に対して責任を負う必要がないということで
す。
  こうした委員会を設置することは、「行政権は内閣に属する(憲法65条)」、「内閣
は行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負う(同66条3)」に違反する
のではないかという批判もあります。
  法務省は、「人権委員会」は「任意調査」しか行わない強制力の弱い組織と説明してい
ますが、そのような組織をなぜ、「3条委員会」とする必要があるのでしょうか。
  更に法務省は「人権委員会」を、「人権侵害をした人を摘発したり処罰したりする機関
ではなく、広く国民に人権について理解を深めてもらう(平成23年12月6日)」と説
明しています。「人権について理解を深める」ための機関が、果たして「3条委員会」と
いう独立した行政組織である必要があるのか、はなはだ疑問です。

(6)弁護士団体や人権団体による人権行政の推進?
  法務省は、事務局に弁護士資格を有する職員を配置しようと考えています。事務局を統
括する人権委員会はわずか数名の非常勤組織であり、弁護士団体や人権団体の意向を受け
た事務職員が任用されることで、「人権侵害」や「差別」について、恣意的な運営や拡大
解釈がなされるおそれがあります。

(7)市民運動家人権擁護委員に就任?
 法務省の原案では、全国一万四千人の「人権擁護委員」は、新たに「非常勤の国家公務
員」として任用されるとなっています。また、これとは別に補充的な委嘱制度(「特例委
嘱」)の創設も盛り込まれています。
 これにより、市民運動家や人権活動家が国家公務員との地位を持つ人権擁護委員として
国家権力を乱用する恐れがあります。

(8)国籍条項の規定がなく、将来外国人が日本人を取り締まる!?
 「法務省は、外国人に地方参政権が付与されることになれば、外国人が人権擁護委員
委嘱されることになるのですか」という質問に対して「外国人に地方参政権を付与するか
否かの検討過程で、改めて議論される問題です」として、現在、市町村議会の参政権を有
する住民から人権擁護委員を推薦している制度を、新しい人権委員会でも踏襲するとして
います。
 しかし民主党では、在日外国人への地方参政権付与を求める議員が多数を占めており、
外国人参政権が実現すれば、自動的に人権擁護委員への登用資格も与えられることになり
ます。
 その場合は、「民団」や「朝鮮総連」など、外国政府の意向を受けた活動家が任用され
る恐れがあります。
 このことは、日本人が日本国内で外国人によって摘発をされることであり、外国の特定
の勢力の意向が人権行政に反映する恐れもあります。人権擁護委員の任用に当たっては、
日本国籍を有するものに限る」という歯止め規定が必要です。

(9)包括法とは別に公務員の人権侵害を救済する機関は必要
 1998年(平成10年)、国連の規約人権委員会最終見解は、警察や入国管理官によ
る虐待に対処するため、「独立した機関」が必要と日本政府に勧告しました。
最近でも、名古屋刑務所内での虐待や、外国人受刑者に対する暴行について報道されてい
ますが、警察、刑務所、入管施設、(自衛隊)などを対象とした機関を作ることが国連委
員会の主張であり、このことき「公務員人権侵害救済法」などの個別法を制定することで
満たされます。
 国連の勧告以降、「ストーカー規制法(平成12年)」、「児童虐待防止法(平成12
年)」、「人権教育啓発推進法(平成12年)」「配偶者暴力防止法(平成13年)」、
「高齢者虐待防止法(平成17年)」、「障害者虐待防止法(平成23年)」など、人権
に関わる個別法が制定されており、国民全体を対象とした包括的な一般法を新たに作る必
要はありません。

《「官に強い人権機関を」(「朝日新聞」平成14年11月9日)》
 法案では人権救済機関法務省の外局に置かれることになっている。それでは、身内の
刑務所や拘置所で起きた人権侵害を徹底的に調査できるのかという疑問がある。
 法務省施設での人権侵害はかねて疑われながらも、摘発されることは少なかった。隠蔽
体質や身内への甘さに対する疑念をぬぐうことはできない。人権救済機関法務省にゆだ
ねるわけにはいかないのだ。

《国連規約人権委員会最終見解》
「警察や入国管理官による虐待に関する苦情申し立てが調査や是正を求めて持ちこまれる
ような独立した機関が存在しないことを懸念する。委員会は、締約国によってそのような
独立した組織または担当者が遅滞なく設置されることを勧告する。」

(10)現行の法律や組織で十分対応。新たな人権委員会の必要性なし
 平成24年3月2日に法務省が発表した「人権侵犯事件」の処理状況についての報告で
は、新規救済手続開始件数22,168件のうち、処理された件数は22,072件にの
ぼり、実に99.5%が現行制度で処理されていることになります。
 法務省が明らかにした法案の骨子では、新たに設置する「人権委員会」を「3条委員会
」とすること以外に目立った特徴はなく、それ以外は既存の法律や組織で十分運用されて
います。
 現行制度の問題点が明確に示されていないにもかかわらず、新たに人権委員会を設置し
3条委員会とする、との法務省の説明は、はなはだ説得力を欠くものといわざるを得ませ
ん。
 国民全体を対象とする「人権委員会設置法案」よりも、刑務所や警察などでの人権侵害
を扱う個別法案の制定のほうが、より優先度の高い課題なのではないでしょうか。

衆議院法務委員会平成23年8月9日》
城内実議員「平成22年の現制度で実に21,696件の新規救済手続がなされて、そ
のうちの99%の21,500件が適切に処理されている。…実際に救済できていない、
これは人権委員会がないとどうしようもないなんという例があるんでしょうか。あったら
教えてほしいです。」
江田五月法務大臣「対症療法じゃなくて、ここは一つ新たな機関をしっかりつくって、
国民から広く信頼され、実効性のある、そういう人権救済制度というものが機能していく
ようにぜひしていきたいと思っております。」

(11)他団体啓発チラシ
たちあがれ日本チラシ骨子
名前は「人権救済」だけど…えっ!?つかまっちゃうの?
密告社会に…!
政府・民主党が準備している「人権救済機関設置法案」に
私たちは強く反対します

人権を守る法律は現在でも十分に整っています
1、行政改革に逆行し、新たな国家公務員が増えることになります
2、内閣の指揮を受けない、強大な権力をもつようになります
3、「人権侵害」の定義が不明で、表現の自由が制約される危険があります。
人権救済機関設置法案は、危険な法案です。
言論の自由を守るため、断固反対しましょう。


[意見提出のお願い]
 「人権委員会設置法案」が国会提出されようとしています。9月19日に続き、もう一
閣議決定される見通しです。
 皆様、「人権委員会設置法案反対」、「閣議決定異議あり」の声を、首相官邸・法務
省へお寄せください。
 あわせて与野党の議員に「人権委員会設置法反対」の声を届けてください。

首相官邸要望先
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

各府省に対する要望先
意見記入フォームの宛先で、「法務省」にチェックを入れてください。
https://www.e-gov.go.jp/policy/servlet/Propose