国際政治学者・大磯正美氏は次の如く云う

   誕生日の木と木ことば
    7・25 シトロン 芳香
 
昨日に続き抜粋いたします。
 
鳩山首相は何の留保もなく「これまでアメリカに依存しすぎた」とアメリカ離れを宣言し、普天間飛行場を「出来れば国外に」と公言して、米海兵隊の事実上の撤退を要求した。このシグナルに敏感に反応したのが中国である。
・今年三月には六隻、四月には潜水艦二隻を含む十隻の中国艦隊が、沖縄本島宮古島の間を抜けて太平洋に進出した。潜水艦は公海であれば潜ったままでもいいのに、わざと浮上航行し姿を見せ付けた。おまけに艦載ヘリを二度も日本の護衛艦に異常接近させ、のちにそれを抗議(遠慮して事実確認と日本は発表)した日本側に対し、中国側は「日本の監視活動が悪い」と言い返したという。
・翌五月、今度は海上保安庁の測量船が東シナ海の日本の排他的経済水域内で、
中国の調査船に「我が領海だ」として追い回され、とうとう諦めて帰港するという事件が起きた。
・また鳩山首相は辞任の数日前、臨時に召集した全国知事会議の席で、尖閣諸島に関して「帰属問題は日中当事者同士で議論して結論を出す、と理解している」と、まるで中立の第三国のような言い方をした。--これは中国にしてみれば棚から牡丹餅が落ちてきたようなものだ。「尖閣を占領しても問題はない」と受け取った指導層があるに違いない。特に強気の中国海軍首脳にはその可能性が強い。中国は
1992年以来、国内法で東シナ海南シナ海の大陸棚と、台湾およびその附属諸島はすべて中国領と定めている。中華に属する人民にとって、尖閣諸島は日本が不法占拠している中国領土であるから、それを取り返すのに「議論して結論をだす」必用はないのである。これが中国の考えなのだ。
・そのための最善の一手は、管首相とオバマ大統領が合意した「同盟深化」の第一弾として位置づけることだ。すなわち、日米安保の適用範囲に尖閣諸島が含まれるという事実を、改めて共同声明などの「外交文書で明示的」に確認することである。
 そのためには、無人島である現状を改善し、かつて民間工場のあった魚釣島への自衛隊の常駐と港湾整備を、日本側が率先して実現しなくてはならない。
 
 
国基研