【第211回】守るべき日本社会の基礎単位「家族」

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【第211回】守るべき日本社会の基礎単位「家族」

山谷えり子 / 2013.09.09 (月)


 
 結婚していない男女間に生まれた非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を、嫡出子の半分と定めた民法の規定に対し、最高裁大法廷は9月4日に「違憲」とする判断をした。
 菅義偉官房長官は「立法的手当ては当然だ。できる限り早く対応すべきだ」と述べ、谷垣禎一法相は「違憲判断を厳粛に受け止め、判断内容を精査したうえで必要な措置を取りたい。決定の趣旨を踏まえ、どのような立法的手当てが必要か、直ちに検討に入る」と述べた。10月召集予定の臨時国会に政府は民法改正案を提出するのではないかとも報道されている。
 最高裁の決定は重く受け止めねばならない。しかし、家族の価値との関係はどうなるのか慎重に考えるべき点が多々あり、国民の感覚を大切にしなければならないと思う。
 ●国民意識法律婚尊重
 確かに憲法法の下の平等をうたっている。しかし、法廷意見(多数意見)で述べられているように「相続制度はそれぞれの国の伝統、社会事情、国民感情なども考慮されなければならず、婚姻ないし親子関係に対する規律、国民の意識等を離れて定めることはできない」のである。法廷意見は「法律婚を尊重する意識は幅広く浸透している」と、法律婚を重んじるわが国の国民意識を認めている。
 相続格差をめぐる内閣府の調査(平成24年)では、「現在の制度を変えないほうが良い」が35.6%、「相続できる金額を同じにすべきだ」が25.8%、「どちらともいえない」が34.8%、「わからない」が3.8%となり、現状維持を望む考え方が強い。また、欧米で急速に進む婚外子への差別撤廃の動きと比較して、わが国が遅れているという主張をする識者も多いが、各国の婚外子の割合はフランス56%、英国47%、米国41%、ドイツ34%であり、日本の2.2%は比較にならないほど低い。比較にならない状況を比較するセンスはどうかしているのではないだろうか。
 ●民法改正論議は多角的に
 今回の決定は、法律婚の否定ではないとし、不倫を推奨するものでもないと解説されるが、婚姻制度の重さが崩れていくであろうことは容易に想像できる。家族は社会の基礎単位として尊重、保護されるべきであり、法律婚によって支えられてきた社会の最小単位としての家族が崩れていけば、あちこちで家庭の破壊やモラルハザードも起き、社会の安定が損なわれていくだろう。
 非嫡出子を差別したり、いじめたりすることは許されない。「出生届」のあり方など差別的な扱いについては是正も議論されていけば良い。しかし同時に、法律婚で保護されている妻や子らの人権を守ることの重さを忘れてはならない。民法改正は、さまざまな角度から慎重に議論されるべきであると考える。(了)
 
 
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