【第199回】「低投票率の中での自公圧勝」の意味するもの

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【第199回】「低投票率の中での自公圧勝」の意味するもの

遠藤浩一 / 2013.06.24 (月)


国基研企画委員・拓殖大学大学院教授 遠藤浩一
 6月23日の東京都議会議員選挙で自民党公明党が立候補者の全員当選を果たし、過半数(64議席)をはるかに超える82議席(自民59議席、公明23議席)を確保、圧勝した。民主党は改選前の43議席から15議席に激減し、第4党に転落してしまつた。日本維新の会は2議席と苦戦したが、みんなの党は躍進して7議席を確保した。共産党は改選前の8議席から17議席へと倍増させ、条例提案権を得た。投票率は過去2番目に低い43・5%だつた。
 この都議選は7月に行はれる参議院選挙の前哨戦と位置づけられた。では、選挙結果は参院選に向けて何を示唆するのか。
 ●参院選後に政界再編?
 第一に、自公与党体制の復活である。このままいけば参院選でも両党は議席をかなり回復するものと見られる。ただしそれは自公体制の固定化を意味する。参院選自民党単独過半数を確保すれば話は別だが(これはかなり高いハードルだが、あながち不可能でもない)、自公体制が強固になるといふことは、憲法改正をはじめとする重要政策は、ことごとく「安倍政権への抑止力」(山口那津男代表)たる公明党の了承無しには成立しないことを意味する。安倍首相はそれを牽制するために、第三極との連携を模索してきたといふ経緯があるのだが、維新の会の失速が明らかになつた以上、戦略の根本的な見直しが迫られてゐる。ここにきて憲法改正などで民主党の一部との連携に言及してゐるのは、その伏線ではないか。
 第二に、民主党の衰退は決定的となつた。政権担当政党としての不適格性についてはすでに過去2回の国政選挙(平成22年参院選、同24年衆院選)において有権者から厳しい審判を受けてゐるが、今回は野党第1党としての存在理由も否定された恰好である。左旋回してかつての社会党のやうに「反対のための反対」を叫ぶだけの政党に有権者はソッポを向いた。左翼にシンパシーを持つ有権者も、それならまだ共産党のはうがマシと判断した。現執行部が続く限り民主党の再建は困難だ。参院選でも大敗は免れないだらうが、民主党議員の心ある人々は選挙後「再建」ではなく「分裂」を選び、政界再編に動くべきだ。
 ●高投票率なら自民単独過半数
 第三に、この低投票率安倍自民党は軽視してはならない。昨年暮れの総選挙で自民党は1662万票しか獲得してゐないが、「維新+みんな」の第三極は1750万票を掻き集め、自民党をも凌駕する勢ひを見せた。維新が失速したいま、この1750万票の行方次第で自民党の「勝ち方」が左右される。多くが棄権にまはり投票率が低下すれば公明党とのソコソコ勝利にとどまるが、安倍首相が吸引力を示せば単独過半数も視野に入れた圧勝に近づく。「安全運転」でも前者はすでに射程に入っている。が、後者はどうか。微妙なところだ。(了)
 
 
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