日本は国土防衛の強い意志を示せ

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【第179回】 日本は国土防衛の強い意志を示せ

川村純彦 / 2013.02.12 (火)


 川村純彦研究所代表・国基研客員研究員 川村純彦
 尖閣諸島周辺の東シナ海における中国の攻勢は、実効支配の既成事実化を狙う中国公船の度重なる領海侵犯に加えて、領空侵犯から更に海上自衛隊護衛艦に対する射撃管制レーダーの照射へと、エスカレートを続けている。
 東シナ海への米海軍の進入を拒否し、或いは外洋での接近を阻止することは、中国にとって南シナ海を聖域化して、米本土を狙えるミサイル潜水艦を配備し米国と対等の核抑止力を獲得するという戦略的重要性と同様に、アジア太平洋地域で覇権を獲得する上での必須の条件である。
 南西諸島の奪取は中国の至上命題であるが、究極の目的は資源の獲得ではなく外洋への進出路の確保であって、中国の国家戦略に基づくもので妥協はあり得ない。
 尖閣への中国の力ずくの挑戦はまさに「侵略」であり、我が国がこれに有効に対処するには、まず自ら国土を断固防衛するという国家意志を示すと同時に、日米同盟を一層強化して強靭な防衛体制を構築し、中国の行動を抑止する以外に方法はない。
 ●南西諸島防衛体制と法の整備が急務
 そのためには、まず南西諸島防衛体制の整備を急ぐことである。所要の機動力の確保のための防衛装備品の追加・増強や尖閣諸島下地島石垣島宮古島を含む離島への自衛隊の配備・増強、隊員の増員と訓練等が不可欠であり、それに伴う防衛費の顕著な増額が求められる。
 これらと併せて、領域を防衛するための「領域警備法」や自衛隊の武器の使用規定を定めるROE(交戦規程)などの安全保障関連の法的整備も不可欠である。
 「領域警備法」に関して、国連海洋法条約25条に「沿岸国は無害でない通航を防止するため自国の領海内において必要な措置を取ることができる」という規定があるにも拘わらず、我が国は必要な国内法を制定せず放置してきた。その結果、領域の侵犯を続ける中国公船に対して為す術なく主権侵害を許している状態にあり、「領域警備法」の制定は急務である。
 ROE については、東シナ海における緊張状態を通じて、現行の法制のままでは自衛隊が有効に対処できないという実情も浮かび上がっており、的確な対処を行うため現行の規定を見直す必要がある。
 ●東シナ海での日米訓練も
 一方、日米同盟の更なる強化においては、東シナ海における日米共同訓練を頻繁に実施すると同時に、「保有するが行使できない」とされてきた集団的自衛権の行使の容認を急ぐ必要がある。
 以上の措置を実施することによって我が国は初めて断固たる国土防衛の意志を明確に示すことができる。
 課題は多いが安倍晋三首相の決断と指導力を期待してやまない。(了)
 
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