福島第一原発の事故の教訓と世界最高水準の安全性確保への道

  北海道大学大学院工学研究科 奈良林直教授
                                         ただし
 
 この世界最高水準というのは、野田佳彦首相が揚げている目標でもあり、これをいかに達成するかをお話ししたい。
 まず福島原発事故から引き出せる教訓をまとめてみました。第一は、津波の進入を防いで、重要な機器、非常用電源、電源盤、バッテリーを海水から守ること、つまり、海水が浸入しないようにすることです。二番目は、幾つもの手段で事故の収束に必要な電源を確保することです。今回はこれができませんでした。三番目は、原子炉を空焚きにしないこと。空焚きにすると水素が発生して、これが水素爆発に結びつきました。多様な冷却源を確保して、原子炉を冷却することが非常に重要です。
 四番目は、万一事故が起きても放射能を漉し取って周辺に放射能を飛散させない「フィルター付きベント」を設置することです。実は、旧ソ連チェルノブイリ原発事故で欧州にたくさんの放射性物質がまかれましたが、欧州の原子力発電所の運転再開に当たって、スペインを除く全ての国がフィルター付きベントを付けています。これが福島に付いていれば、周辺の放射能被害はほとんどなかったと思います。五番目は、制御室での事故の事態を把握して、外部との通信・データ送信を常に確保すること。今回、携帯電話が全く使えなくなって、原子力発電所の中央操作室と本部との連絡すら取れなくなってしまいました。
 六番目は、立ち遅れた原子力規制の抜本的改革と、自衛隊を含めた国の原子力防災体制の強化が必要です。最近、欧州を視察して、真剣に安全確保に取り組んでいる姿を目の当たりにしたので、私自身の反省も含めて、原子力規制の抜本的改革という言葉を使わせてもらいます。七番目は、原子力教育とエネルギー安全保障の対策が必要です。私は大学にいるので、新潟県知事から「原子力分野に優秀な人材が入らなくなると、原子力発電所を持っている地元としては困る」と言われ、原子力教育を依頼されました。
 福島の事故では、・・・・・・・・・・・・・
  続きは「国旗研だより」平成24年2月号をご覧下さい。
 
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 国家的一大事ーー
公民教育から家族が消えた
 
 大月短期大学教授・「つくる会」理事 小山常実氏
 
 来年度から使われる中学校公民教科書について書きたい。従来の公民教科書は、家族と地域社会の記述から始まって、経済と政治を書き、国際社会を記述して終えていた。それゆえ、現行教科書までは必ず家族論の単元を設けてきた。
 ところが、平成20年の新学習指導要領から家族が消えたため、来年度から使われる教科書で7社のうち3社が家族論の単元を設けなかった。その結果、家族論に割かれたのは平均1.3ページとなった。昭和53年度の教科書では平均20ページ半、現行教科書では平均3ページであるから、すさまじい減少だと言えよう。
 公民教科書執筆者は、家族を解体し、子供を家族から国家に奪い取っていくことを狙っている。戦慄すべき事態である。国家的一大事である。国会で質問すべきことではないだろうか。
 
 
 
 
    ご葬儀を雅楽の音で 格式高く
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