JINF 竹島での大規模工事に抗議する

              竹島での大規模工事に抗議する
                     国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力
 
 韓国政府は竹島で大規模な工事を行うことを決めた。竹島から北西1キロの日本領海内で水中の岩の上に「総合海洋科学基地」を建設する工事の落札が終わり、近く基礎工事が始まる。基地建設には300億ウオン(約22億円)をかけ、2013年に竣工予定という。竹島では既に3月半ばにヘリポート改修工事が始まり、5月に完工予定だ。どちらも日韓友好関係を揺るがす行為であり、抗議する。日韓が対立すればするほど喜ぶのは北朝鮮金正日政権と中国共産党独裁政権である。この事実を重視し、韓国政府と韓国民が賢明な判断を下すよう求めたい。
 
 ・日韓友好に反する科学基地建設
 韓国では3月11日の日本の震災に対して同情が広がり、官民挙げて日本を支援する態勢ができた。いち早く救助隊が派遣され、朝鮮日報が先頭に立った日本支援募金は全ての新聞・テレビが参加する国民的なものとなった。その中で3月末、日本の中学教科書の検定結果が発表された。改正された指導要領に基づき竹島に関する記述が、筆者らからするとまだ不十分だが、質量ともに増加した。それを受けて韓国マスコミと世論が、対日支援をしているのに恩を仇で返されたと日本批判を強めた。李明博政権は、地震支援と竹島問題は別だとして支援を続けつつ、計画はあったが実行を先送りにしていた基地建設工事に踏み切った。
 ある知日派知識人は「李明博政権は抑制的対応をするだろう。前任の濾武 政権は大統領が先頭に立って日本を非難し、文化、スポーツ、自治体間交流を中断するなど極端なことを行ったが、結局、日韓間に領土問題があることが国際社会に広まり、実効支配している韓国の国益を阻害した。現政権はそのことをよく分かっているはずだ」と語った。確かに、竹島問題を他の問題に拡大しないという原則は守られ、従軍慰安婦などの教科書記述に対する抗議は韓国からなかった。しかし、竹島での工事により、これらの抑制的対応はぶち壊しになった。
 
 ・日本は一貫して自制
 韓国では左翼の宣伝により「日本が右翼化した結果、竹島に対する政権が強行になった」という認識が広まっているが、事実無根だ。日本は1965年の日韓国交回復以来、「竹島は日本の領土であるとの主張は譲らないが、他の問題に波及させず日韓友好に努める」という自制した政策を一貫して取ってきた。教科書記述に対抗して大規模工事を行うという今回の韓国政府の措置は、日本側のこれまでの自制を踏みにじるものだ。震災で苦しんでいる時にこんなことをするのはひどいという感情が日本で高まっていることを、韓国の友人に伝えたい。
 
国基研
 
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