時代に逆行する経団連

             皇室とともに

経営科学出版

三橋貴明の「新」経世済民新聞』  2020年2月14日  時代に逆行する経団連  From 施 光恒(せ・てるひさ)     @九州大学 ■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■ ※配信解除は、最下部でできます。

こんばんは~(^_^)/(遅くなりますた…) 少し前ですが、経団連が今年の春闘で話し合うべきは、日本型雇用(新卒一括採用、年功賃金、終身雇用など)の見直しだという発言をしたと報道がありました。 (例えば、以下の記事です。「日本型雇用システムの見直し明確に 経団連春闘に向け指針」『NHK NEWS WEB』2020年1月21日) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200121/k10012253451000.html 経団連としては、世界的な大競争(メガ・コンペティション)がどの業界でも進んでいるまさにグローバル化が進展している時代に、日本型雇用など過去の遺物であり、なくしていくべきだということなのでしょう。 私は、この経団連の状況認識は、大きく誤っていると思います。 現在の世界の潮流は、グローバル化が進んだせいで大きく傷んでしまった各国の社会をどう立て直すかを模索する時代に入っています。格差を必然的に生み出し、各国の大多数の普通の人々の生活を不安定化してしまったグローバル化の流れをいかに是正するかということこそ、今日の大きな課題であるという認識が、世界各国で広がっています。言ってみれば、世界はすでに「脱・グローバル化」(ポスト・グローバル化)の時代に入っているのです。 経団連の認識、および提言は、その意味で時代に逆行しています。 これに関して、興味深い論説が『フォーリン・アフェアーズ・リポート』誌(2020年第2号)に掲載されていました。 英国のシンクタンクであるニューエコノミクス財団のチーフ・エグゼクティブであるミアタ・ファーンブレー氏の論説「ネオリベラリズムの崩壊と新社会契約――社会民主主義では十分ではない」(原タイトル「新自由主義の崩壊――市場は解答ではない」(The Neoliberal Collapse: Markets Are Not the Answer))です。 この論説は、グローバル化によって荒廃した社会を是正するために、英国では、いわば新しい「英国型経営」「英国型市場経済」を模索していく必要があると主張するものだと読むことができます。 ファーンブレー氏は、「…いまや先進国の多くで、政治的立場を問わず、資本主義の今後が悲観されて」おり、「エコノミスト、政策決定者、市民たちは、過去40年にわたって多くの先進国社会を支配してきた『ネオリベラリズム、つまり、市場メカニズム規制緩和、小さな政府ですべてはうまく行くと考える思想』はすでに限界に達しているとの見方を強めている」と論じます。 新自由主義の時代が終わりを迎えたという認識が共有されつつあるということです。 ファーンブレー氏は、英国の最近の世論調査の結果に言及します。 それによると、英国の83%の人々が「経済(システム)は富裕層に有利に作用している」と感じているのに対し、「貧しい家庭に生まれた人にうまく作用している」と答えた者は10%に過ぎません。 また、英国の75%の人々が、この数十年で民営化された鉄道、電力供給、水道事業などの産業を政府管理に戻すことを支持しています。 日本では、これから水道事業の民営化を本格化させようとしています。 やはり英国とは逆を行っています。 ファーンブレー氏は、欧州連合EU)からの英国の離脱とは、新自由主義システムのもたらした悲惨に対する人々の不満と怒りのはけ口だったとみています。 新自由主義が荒廃させた英国社会を立て直すために、ファーンブレー氏はいくつかの政策を提言していますが、そのなかには、雇用制度の改革も含まれています。 まず、停滞する賃金を上向かせるために、「政府は法人税、賃金規制、補助金などの政府が持つあらゆる手段を駆使して、企業が労働者に公正な賃金を支払うように仕向けるべきだ」と論じます。 また、ファーンブレー氏は「労働組合の権限の強化」も訴えます。 「あらゆる企業に労働組合を認めることを義務付け、労働者に組合の組織、集団交渉、争議に関するより大きな権利を認めることで、自己利益を守る労働者の能力をもっと強化すべきだ」。 加えて、「企業経営への労働者の参加」の必要性も主張しています。 「企業利益を応分に共有できる株式という形式で、社員所有ファンドを労働者が集団的に所有することを政府は義務付けるべきだろう。この信託制度を通じて、労働者は、他の株主同様に、企業からの配当を受け取る。株式には議決権が付与され、時間が経過するとともに、従業員が企業における有力株主となり、事業の方向性を決める権限を持つようになる」。 これらが実現されることにより、英国企業は、生産性の向上、従業員の定着率とエンゲージメント(仕事へのやる気や熱意)の改善、収益の増大などがもたらされるはずだと、ファーンブレー氏は論じるのです。 こうしたものは、新自由主義の経済の下で進められた株主中心主義を改め、労働者(従業員)の立場を強化する政策です。 ファーンブレー氏が必要だと論じているのは、労働者にもっと公正な新しい「英国型雇用制度」を実現できるような場を、政治の力を借りつつ、実現することだといってもいいでしょう。 他方、日本は、昨秋、改正会社法を可決し、社外取締役の設置を義務化するなど、ますます株主中心主義を進めています。社外取締役の設置の義務化について、日経新聞は、「日本企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)を強化して株式市場の透明性を高め、海外から投資を呼び込む狙いだ」(2019年10月18日付)と記していました。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51092490X11C19A0MM0000/ 「コーポレート・ガバナンス改革」とは、要は、株主権限のさらなる強化のためですね。「社外取締役」とは、株主の利益の代弁者ですから。 日本型雇用制度を改め、なくしていこうとする経団連にしろ、水道の民営化や株主権限を強化するコーポレート・ガバナンス改革を進める政府にしろ、今の日本は、世界で起こりつつある「脱・グローバル化」(ポスト・グローバル化)の流れを認識できずにいます。その必要性も理解できずにいるようです。 かつて、世界に冠たる「日本型経営」「日本型資本主義」を生み出し、市場経済の活力と、人々の生活の安定や幸福との間のバランスをうまくとることに成功した賢い日本人は、どこにいってしまったのでしょうか。 我が国の先行きが本当に心配になってきました。 目指すべきは、グローバル化のさらなる推進策としての日本型雇用制度の見直しや撤廃ではなく、働く人に生活の安定と豊かさを提供する日本型雇用制度の新しいかたちを積極的に見出していくことにあるはずです。 「脱・グローバル化」の潮流を認識したうえで、人々の活力や意欲を引き出し、また、生活の安定や幸福を多数の普通の人々にもたらすヴァージョン・アップされた日本型雇用制度の模索こそ、加えて、それを可能にする新しい「日本型資本主義」「日本型経営」の探求こそ、今日の日本社会が必要とすることなのです。 長々と失礼しますた…

<(_ _)>

/// 事務局より /// 【三橋貴明の新講座リリース】 三橋貴明の新講座である 日本文明の研究 古代編 古代ニッポンの建国 こちらがリリースされました。 5日間限定ですが、今なら、

手に入れることができるので、 お早めに詳細をご確認ください。 >https://pages.keieikagakupub.com/cpm_38nbko2_s_d_14800_mail/


#経済


教育基本法に基づく教育を行う(教育議論を行う)とは、

教育基本法 教育の目的・教育の目標・教員・家庭教育 に基づいて行うということ


授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業
http://jdjapan.blog.fc2.com/blog-entry-34.html
メディア報道研究政策センター
http://www.mediken.or.jp/
ルーズベルトが日本に戦争を仕掛けた
http://gekkan-nippon.com/?p=2969        
「史実を世界に発信する会」
http://hassin.org/
雅楽平和
http://www.gagaku-heiwa.jp
チャンネル桜
http://www.ch-sakura.jp/
林原チャンネル
https://www.youtube.com/c/hayashibara-ch