櫻井よしこ理事長

JINF 今週の直言
 
        国家観なき 「市民」 政権の敗北
                                         国基研理事長 櫻井よしこ
 
 尖閣諸島周辺のわが国領海侵犯事件の第一段階は、「市民連合」対「国家」の闘いだった。国家観なき管直人民主党政権と、領土拡大にひた走る帝国主義国家、中国共産党政権との対立である。
 領海侵犯事件公務執行妨害に問い、刑事事件として扱おうとした日本とは対照的に中国は、船長の即時無条件釈放を要求し、「中国の領土領海」における日本の如何なる監視行動も許さないと発表したことに見られるように、徹頭徹尾、この事件を国家主権としての領土問題と位置づけた。
 
 ・検察に責任転嫁した卑怯
 国家にとって最も根本的かつ最重要の領土領海問題を国家としての覚悟もなしに
扱った日本の敗北の傷は余りにも深い。無様な完敗が示すことは三点ある。
第一は、管、仙谷由人前原誠司氏ら政府首脳の精神の卑怯さである。中国人船長の突然の釈放を、司法の判断として責任転嫁した。
 中国人船長の逮捕も官邸の決断なしには現実政治の中ではあり得なかったのであり、その釈放も同様である。それを恥ずることなく、検察の所為にした。民主党政権首脳の覚悟のなさと精神の卑しさがもたらす負の影響は、内外において測り知れない。
 それは、第二の点、日本は恫喝に屈する国だという国際評価につながっていく。第二次世界大戦の敗北は占領政策を経て日本人の精神を蝕み続け、今回、中国の不条理な要求に政府が責任回避をしつつ屈したことを以て極まった。東シナ海のみならず、日本の抱える領土領海問題は以降、一層難しくなるだろう。
 
 ・憲法の虚構を打ち破れ
 第三点は、民主党に限ったことではないが、何事も米国に頼ろうとする属国根性である。9月23日の日米外相会談で、クリントン国務長官は、尖閣諸島日米安保条約第5条の適用範囲だとはしたが、尖閣領有権についての立場は明確にせず、日本に事件の早期解決を強く促した。これをよいことに、日本政府は司法判断を待つことを断念し、早期の政治決着に逃げ込んだと見てよいだろう。
 領土領海を守り国の安寧を保つ力は、まず自国が持たなければならないことを私たちは認識しなければならない。現行憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」「安全と生存を保持しよう」の決意の壮大な虚構を実感し、国の根本を作り直さなければならない。尖閣を巡る闘いを、「市民連合」対「国家」の現状から「国」対「国」の構図に正していくことに、全力で取り組むことだ。
 
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