初めてお供した外国ご訪問

渡邉侍従長が初めて両陛下にお仕えしされたのは、昭和62年、皇太子、皇太子妃として米国を訪問なさったときのことです。
ご出発になったのは、昭和天皇が手術をお受けになった直後であり、また、妃殿下の母上、正田富美子さまが大分お体を悪くなさっておられましたので、お二方にとっては、大きなご心配を抱えてのご旅行であったと思います。
ワシントン最後の晩餐会では、殿下にお言葉をお願いすることになり、その草稿を差し上げましたが、その原稿を何度も推敲なさるのです。晩餐会の直前まで、お言葉のテキストを手に持って「ここはこう言った方がよいのではないか」と考えておられるのです。殿下は、いつもそうなさるのだそうです。
 ニューヨークでは、急に、アフリカ系の議員グループからハーレムにいらしていただきたいという話が。殿下は、「そういうことなら行きましょう」と即決なさいました。
ハーレムでは、街角の広場に大きな舞台を作ってきらびやかに飾りたて、大騒ぎをしながら、賑やかにお二方を大歓迎しました。
このときの米国の儀典長で、ご滞在中一緒だった、セルワ・ルーズベルト女史は、
「両殿下は、レセプションでは、ゆっくりと人々の間を歩かれて、顔を合わせた人と
表面的な挨拶をなされるのではなく、本物の会話をなさっていました。質問をしては、
その答えに実際に聞き入っておられ、人々が群れ寄ってくるのにも気が付かれない
ようでした」「ワシントンのホスピスで、妃殿下が老人の一人一人に示された優しさに
心を打たれました。実は、在任中に、このときだけは、仕事中に涙が出て、止めるのに苦労しました」
詳しくは、「天皇家の執事」を、ご覧下さい。
 
国基研
 
 
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